「お?めっずらし!」
青木が驚いた。芳樹が青木の部屋を訪れることなんてそうない。
「なんだよ?なんかゲームでも借りに来たのか?」
部屋に入って芳樹はどすっと座りこみ、散らかってる漫画を拾いあげた。
「なあ、アサヒの彼氏、どんなやつ?」
「彼・・・・?いねえだろ普通に。」
「・・・違うんだ・・・。」
「誰・・・、あ。」
「心当たりある?」
青木は頭をかいた。
「ショータ・・・会ったのか?」
「・・・おう。」
「え、付き合ってんの。」
「違うんだったら違うんじゃない?アサヒだぞ。」
「・・・違うと思う。」
青木が思い出しながら言う。
「で。どんなやつ。」
「えー・・・?俺あんまり喋らねぇからなぁ。あー・・・普通。」
「普通?」
「あ、でも努力家かも。推薦組に混じって一年から時々試合出てる。」
「・・・推薦じゃないんだ?」
「全然。4月とか本当に平凡なピッチャーだった。結構悔しい思いさせられたけど。」
「・・・へー・・・。」
「なんで?」
青木は不思議がる。
「あいつ・・・、俺に明日来いって。」
「試合?」
「おう。」
「あぁ・・・そういや、明日準決勝、ショータ抑えででるかもしんねぇな。控えメンバーなんだ。」
「三振5つ取るんだって。」
「はあ?!」
驚いた。
「なんて?!あいつがそう言ったの!?」
「おう。」
「・・・おっど・・ろいたー・・・まじかよ。あいつ。口も使えんだ・・・。」
「は?」
「こっちの話。へぇ・・・で、なんでそれ、お前に?」
「・・・俺に球捕れって。」
「・・・へぇ・・・。」
青木は笑った。
「じゃあ、しゃあねぇな。俺、ショータを応援しねぇと。」
「・・・お前。今度俺のこと誰かに話したら本気で口縫い付けるからな。」
「はは!やってみろ、トレーニングしてねぇお前の腕でできるんならな!」





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