Love Letter From Death 第二話  拍手へのお礼小説


「この街で見つかるかな。緋憂のお墓。」
愛がつぶやいてあたりを見渡す。
アメリカの。おしゃれな感じの町並みだった。
「知らねぇよ。思い出せねぇ。」
緋憂はそっけなくそう言いのける。
「なにをー。」
「此処はなんつー街だ?つーか、何でこんなとこ来たんだ?」
「お仕事。」
愛は人差し指を立てる。
「なんだよお前の仕事って。あやしそうだな。」
ちょっと引く。
「うーん。大体が死人から魂を狩ったりー・・・。あんたみたいなのをなんとかしたりー。ゴーストを牢屋送りにしたりー。」
指を折りながら愛は言った。
そして緋憂のほうを見てにこっと笑った。
「バカみたいでしょ。こんなメンドイの。」
あっさりと。笑った。
 「―――とか言ってる間にっ。」
瞬間。
ガァン!
「!!!」
爆発音。というよりも、銃声。鳴り響いた。
その刹那、愛は走り出していた。
ぐしゃっという音が鳴る。それは血の音。それは、肉片の砕ける音。
ふぁっと、愛の胸元のクロスが光る。愛はそのクロスに手を添えた。
ビュン!
そして次の瞬間にはそこから鎌が引きずり出されていた。
「!なッ!」
緋憂はその時生まれた風圧に押しやられる。
「鎌が・・・っ――」
愛の。
その時の口元は、確かに。
「オヤスーミ。」
笑っていた。
パアンッ
すがすがしい音。鎌が狩った。肉体を狩った。
するとふわりと何かが浮かび上がってきた。
白い、光の玉。塊。
ぐるん。
突如愛の持っている鎌の柄の下についているオーブが回転し、光った。
愛が浮かび上がった白い魂に向けて、そのオーブを向けた。
すると、ものすごい風が起こった。
ザザザザザ・・・・・
何色ともいえない光の筋があたりに充満する。
それは次第に筋となり、オーブに吸い込まれていった。
全てが無言で行われた。

「ふぅ。完了。」
あ゛ー疲れた。と言って愛はため息をついた。
―――これが、死を呼ぶ神の・・・仕事・・・。
緋憂はごくりと息をのみこんだ。
すごい、と思った。
「他殺の被害者って、魂が死後すぐにどこかに逃げようとするの。だから死んだその直後に駆らないといけないのよ。」
愛は説明した。
「めんどくさいうえに、疲れるわぁ。」
こわい、と思った。
「あっ☆ねぇ!墓地にいこ!」
振り向いて愛は笑った。にっこりと。
「あぁ・・・。」
だけど。つらそう、と思った。

「リチャードくん。・・・クロムウェルくん・・・。ダーウィンくん・・・・?」
名前を呼びながら、途中から適当な偉人の名前を並べだす。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
煮えたようだ。
「そぉぉーーーーーじゃん!だいたい名前自体わからないんじゃん!!!!!!!!!!」
叫んだ。
「・・・気づくの遅いし」
馬鹿なんだろうか。と、思った。
愛はキッと振り向いて言った。
「お・も・い・だ・し・て・ね・ひ・ゆ・う――――・・・・・・・・・。」
くっきりはっきり、威圧しながら笑った。怖い。
「何マジになってんだよ。」
―――俺の墓は・・・どこにあるんだろう・・・・
呟きそうになった。
「ま、きっと地球のどこかにはあるでしょうし。
愛は気を取り直して言った。
「まずすべきことは、あんたを知る人を探すことね。」
そう言って歩き出した時。
キィン・・・!
金属音が鳴った。
「あ!やだっ」
愛が言った。その落ちた音を拾い上げようと、緋憂は身をかがめた。
「ん・・・?」
気づく。
「・・・あ、ありがとねっ。
「これ・・・。」
それはプレートだった。ナンバーが刻まれた。
そう。あの、指輪から伸びてきた、金属のナンバープレートだ。
「お前って・・・」
振り向いて愛に渡そうとした。その時。
「やだ!」
肩がぶつかり、愛は大きな声を出した。
あ。
緋憂はその目を見た。

確実に、おびえた目を、していた。

だけど。
「ふっ。」
その口元は、すぐに笑った。
「あははっ!」
「?」
「びっくりしたぁ?」
愛は笑って指をさしてきた。
「は?」
「こんくらいでびびってたらー!」
笑いながら。
「私についてこれないよー?」
「・・・・どういうことだ?」
「知っているのだよ。」
ふふんと、言う。
「私が、あの人の魂を狩った時、緋憂の足が震えていたのをっ!ね!」
「・・・・・・・・・いや、まず違うし。」
「え。」
あははっと愛は笑った。
「・・・・・・・・・・・・・もういい。」
呆れた。諦めた。

なんだったんだろう。
気のせいか。
そう、思うことにした。


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