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コンコン。
ノックの音が鳴る。
「はいはい。」
ぎぃ。
この音はずっと変わらない。
木の音がして扉が開く。
「おや、クシス。」
スザンナは笑って向かえた。
「お邪魔するよ。」
「どうぞ。ボードレーも、入って。」
にこっと笑って向かいいれる。
「あ・・・お邪魔します。」
「丁度昼御飯を作ってたんだ。食べる?」
「おや、それはいいタイミングだった。頂くよ。」
「今日は目玉焼きだからね。」
「あははっ、いつもじゃないか。」
「得意料理なの。」
「うん。確かにスザンなの目玉焼きは美味しいよ。他では食べれない。」
二人はいつもいっぱいの笑顔で話をする。
ボードレーはそんな二人を見ていつも不思議に思っていた。
愛人なのか、それとも、ただの友人なのか。
スザンナだけは判断に困った。
「じゃあ、また来るよ。」
「いつでも来て頂戴。」
手を振って、スザンナの家を出る。
「伯爵。」
「ん?」
遠ざかって馬車に向かう途中で問いかける。
「スザンナさんって、いつも笑顔ですね。」
「ん?うん。そうだね。いつも笑顔だ。」
「何処で知り合ったんですか?」
「何処だったかな。」
「その頃からいつも笑顔だったんですか?」
「そうだね。」
クシスは微笑んだ。
「だけど、これも一種の呪いかもしれない。」
「のろい?」
「こっちの話だ。さ、帰ろう。」
「はい。」
笑って。
笑って、いつだって。
サリーナ・マハリン 終わり
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