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ぎぃ・・・。
木の軋む音で扉が開く。
「・・・これ。」
「お礼、だと言っていましたよ。」
クシスがそう言った。
「・・・いつから、造ってたんだ?」
「・・・憶えてないけど・・・多分2年くらい前だったと思います。」
「フェレスが?」
「設計は。」
「そっか。」
見上げる。
小さな家。
サリーナ・マハリン郊外にある林の近く。
「ありがとう。」
「・・・兄様に言ってください。」
「そうだな。」
クシスを見る。
まだ複雑そうな表情をしてる。
「スザンナがいつも、邸宅に泊まれっていうのを頑なに拒んでいたから造ったんでしょうね。」
「そうだな。」
ははっと笑った。
「・・・あれ。」
暖炉の所にあるレリーフに光る石を見つける。
近寄って見る。
―――あぁ。これは。
「兄様は。」
「ん?」
「兄様は、婚礼の話、片っ端から断ってました。」
「・・・へぇ。」
「それ以外はいつも父上や母上の言う通りにしてたんですけどね。」
「そっか。」
笑った。フェレスの指輪をつっと指で撫でる。
「ねぇ、クシス。」
「ん?」
「私、此処にずっと住んでもいいかな。」
「・・・もちろん。これはスザンナのものだよ。」
「うん。ありがとう。」
目を閉じた。


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