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サリーナ・マハリンまで、およそ丸1日。
「久しぶりだな、野宿。」
いそいそと寝る準備を整えて、ふふっと笑う。
懐かしい。
一度旅をした時以来だ。
空を見上げる。
美しい星空が見える。
スピカが光る。
青い石だ。
だけどふいに家族の事も一緒に思い出す。
私が村を出て、帰ってきた時には彼らはもう私を待ってはいなかった。
冷たい体を土の中に埋めていた。
祖父さんは国の役人との戦いの中で深手をおって、母さんは伝染病に感染して、弟はその看病中に伝染病をもらって、あっけなく死んでしまったらしい。
口がきゅっと閉じられる。
だめだ。
急いで微笑んで見た。
笑わなくてはならない。
フェレスの言葉を思い出した。
微笑んだら、不思議と家族との楽しかった想い出が頭を廻った。
「・・・本当に久しぶりだ。」
呟き終わった瞬間に起き上がって剣を抜いていた。
どか!
顔に痛みが走る。
あぁ、身体がなまってるらしい。
だけどぞくぞくと体を走るこの感覚。
すぐに思い出す。
野盗。ひぃふぅみ。・・・7人か。いい数字だ。
跳んだ。

「うーん・・・。」
朝日と共に目を覚ます。
「・・・やっぱ、少しなまった。」
コキっと首を鳴らす。
体に残るちょっとのあざと筋肉痛。
転がる野盗ども。
目に灯る寝不足のだるさ。
「やばいな。ちょっと修行しよう。バイトだけじゃなまる。」
筋肉を鍛えるくらいはずっと続けていたけれど、甘かったらしい。
身体が戦う動きを忘れてる。
それは実践でしか手に入らない動きだ。
実践でしか感じられない感覚だ。
「よっと。」
少し柔軟をしてから、歩きだした。
サリーナ・マハリンはもうすぐだ。
今日が成人の儀式の日だ。
遅れられない。
なんとかして会いたい。
「大きくなってるだろうなぁ。」
想像してみる。
かれこれ2年ほど会ってないわけだから、きっともっと背が伸びてるだろう。
肩幅とかも広くなって、手も大きくなって。
ふっと笑った。
楽しみだ。
「私もたくましくなったって言われたらいいな。」
足取りはとても軽かった。


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