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「え?」
「サリーナ・マハリンのアングランドファウスト家の長子が成人するんですって。」
「・・・・それって、フェレス?」
「んー?確かそんな名前だったとおもうけど。」
仕事(バイト)仲間のマリーがそう言って笑った。
「アングランドファウストっていったらアルブ南部で一番ってわけじゃないけど、権力もあって、由緒も正しくて、評判もいいじゃない?素敵ねぇその長子っ!お近づきになりたいわっ。」
「あはは。マリー、あんた彼氏いるでしょうに。泣くわよ、なんだっけあの人。」
「レーのことっ?やっだ、私もうわかかれたわよ、あんなんとはっ。」
おしゃべりは続く。
「・・・・フェレス。成人するんだ。」
一人呟いて見た。
「・・・と、いっけない。私もう行かないとっ!次の仕事あるんだ。」
「スザンナっ、あんた働きすぎ。」
「大した仕事じゃないよっ。唯の警備。じゃーねっ!おつかれさまっ。」
走り去る。
この頃仕事を二つしていた。
一つはこのアルブの町で布を織る仕事。
もう一つはピティ周辺の警備として。
男の武民ならもっと傭兵とかにもなれただろうけど、女の私があの村に留まって傭兵をする事は困難で、結局こういう風に仕事を選んだ。
走りながらフェレスを思い出していた。
確か彼とはおない年だった。
だったら15歳で成人なんだ。
遅いんだな。と思った。
武民が早いだけだけど。
華やかだろうな。
ふっと笑った。
今どんな風になってるのかな。フェレス。
懐かしい。はやくも2年ほどあっていない。
会いたいな。思った。
成人するんだったら、きっと成人の儀式とかあるはずだ。
「・・・よしっ。」
その日、仕事を休ませてもらえるように頭を下げた。


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