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その後、そういう、襲われるような事はなかった。
町の手前で一度馬車を止めた。
「多分、ここまできたら大丈夫だよ。すぐに町だ。」
「スザンナ。」
「ん？」
「もうどこかに行こうとしてるだろ。」
「・・・だ、って。護衛。もう必要ないだろ？」
「お礼。」
「あぁっ。うん。なんかくれんのか？」
手を差し出してみる。
「今日、夕餉に招かれろ。」
「は？」
「それから、服。見立ててやる。それとアルブに帰る旅費。これが対価でいいか？」
「・・・もっと簡単な・・・お金とかじゃないのか？」
「嫌なのか？」
「嫌じゃないよ。でも・・・。」
「乗って。」
ぐっと、いきなりフェレスは私の手を取って馬車に引きずりあげた。
「ちょっと待ってフェレス！私・・・血まみれ・・・っ！」
クシスがこっちを見て少し目を丸くしていた。
「外を馬で行くのは目立つ。」
「でも、馬車汚れちゃうかも・・。」
「結構細かいこと気にするんだな。」
まだ、幼いけれど綺麗で落ち着いた顔つきでこちらを見る。
「俺達を助けてくれて汚れたんだろ。汚いものじゃない。」
「・・・・・・・・・・・・・そっか。」
微笑んだ。
今度は、心が温かくて。
血が騒いで、ではなく。


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