「・・・・」
美木が部屋を去って、海座は一人バラバラと書類を眺めた。
幹部の部屋に一人ぼっち。
冷たい風が隙間から入り込んでくるのがやたら気になった。
独りじゃなかったら気にならない小さな物音が良く聞こえた。
今日は麗春も高羅もいない。
麗春には文王の外交に付き添ってもらい、高羅は軍議をしていたから。
「・・・・・・・・寂しいモンだな。」
美木は一人だった。
海座や麗春や高羅は何かが起これば前線に向かったから。
美木は、しょっちゅう一人だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
海座は少し考えた。
美木は、なにを考えてここに一人でいるんだろう。
「・・・」
仕事を続けた。
バラバラバラ・・・。
たるい仕事だ。
バサァァァ!!!!
そこに思いっきり飛んできたのは、また、鳥だった。
「うおをおおおぉぉぉ!」
つんのめって机に倒れた。鳥が海座の前で踊るようにバタバタしている。
「なんだってんだぁぁぁ!!」
海座が切れながら鳥の脚についた書簡を取った。
書簡を開く。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
黙読。
「・・・・・・っ。なんだと・・・・・・・」
ガターン!
海座はいきおいよく立ち上がり、駆け出した。
医務室へ。

「どうした!!!」
駆け込んだ。
「軍師殿!!!」
何人かの人間がそこにいて振り向いた。
「誰が・・・・!」
海座が寝台の上に横たわる男に近寄った。
「誰にやられた!!宇葉!」
使者としての使いの帰り際に襲われたらしく、使者の正装はずたずたに破れ、彼の身体は生々しい切り傷が刻まれている。
「しゃべれるか!!!」
海座が被りつく勢いで叫ぶ。
「ぅ・・・・・。」
つらそうに宇葉が口を開く。
「正地の・・・・」
「!」
周りのものも囲む。
「正地の印をつけた男達が・・・・」
ぜぇぜぇ。息が、つまるようだ。
宇葉はしゃべる。
医療班が彼の汗をぬぐう。
これ以上しゃべるなと言う。
「正地の頭の・・・・子を、探している・・・・・・と・・・」
「あぁ・・・・!」
海座がうなずく。手を握る。
「城の者だと・・・・わかると・・・・切り・・・かか・・・って・・・・」
「わかった!もういい!!」
海座が叫んだが、宇葉はやめなかった。
「頭の・・・子を・・・出せ・・・・と・・・・・・・城の者を・・・ねらって・・・・・・」
宇葉の目に涙がたまっているのが見えた。
「わかった!!!宇葉!しゃべるな!!!!もういい!!!」
叫ぶ。
すると宇葉は涙をながし、目を閉じた。
医療班が海座を軽く押しのけて治療を始めた。
海座はあとずさった。
汗がこぶしを伝ったのがわかった。
「ここ・・・任せるぜ。」
海座が近くにいた男に言った。
「は・・・っはい!」
「それから、これから一切城の者を城から出すなっ。そう門番に伝えてくれ。」
「はい!」
「頼むぞ!」
そう言って海座は走り出した。
こぶしがべたべたする。
「くっそ!!!!」
走り出した。

ガタ――ン!
幹部の部屋に飛び込むとバラバラバラバラとものすごい速さで書類をめくった。
「・・・っ!どれだ!!!くそ!!!」
バラバラバラバラバラバラ・・・!

「頭・・・・っつたな・・・!ちくしょ・・・!どれだ!!」
――― 子を出せ・・・
「誘拐なんざしてねぇよ!!」
バラバラバラバラ!!!

「・・・・・・!こいつか!!!」
その頁は、海座が見ていたところから相当後ろのほうの頁だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
息切れがなおってきた頃だ。
「・・・・・高島恒・・・・・・・?」
変な名前だ。
「・・・・・・・・。」
海座は何か、おもいあたった。
この手の変な名前。
「・・・・・・・・・。・・・・!凛!・・・松本 凛!!!!」
これだ。
「高島・・・・恒か!!!」
つまりこいつは・・・。
「倭名国の・・・・・・!」
汗が伝った。
「そうだ!こいつの子は!!!」
ばっと海座が書類に目を通す。
文字が多くて探すのが面倒だ。
「ねぇじゃねぇかよ!!」
切れる。
「!そうだ!こっちの追加・・・!」
もう一方の束をつかむとものすごい勢いでまた書類をめくりかえしていった。
「・・・・・・・・・・・・っ・・・・・・高島・・・高島・・・・!」
バラバラ・・・・!
そうしている間にも、もしかしたら。いや、そんなはずがねぇ。が頭を繰り返していた。
海座は必死で紙をめくる。
違うと思いたかった。
違うという証拠が欲しかった。
でも、もう頭では分かっていた。
「高・・・!あった!子!子は!・・・・・・・・・!!!!」
バラ・・・・。
「っ!!!!!!!!!」





→次のページ


■ホーム■□□   拍手   意見箱   投票
■イントロへ■ 

5

inserted by FC2 system