それに比べてこいつはどうだ。
「んだよ」
不機嫌そうに問う。軍師。
「・・・・・・ナンデモネェ・・・・・」
返す。
「城下くらい一人でも行けるぜ。嫌なら来んなよ。」
ザシザシ歩きながらいう。高羅はあきれた顔でため息。
「なに言ってんだよ。もう日が落ちんのも早くなってんだぜ。あぶねぇだろ」
「おめぇはオレの保護者か・・・っ」
オカンみたいなご注意にツッコミ。
「と言うか。おめぇは軍師なんだぞ」
急に真面目になる高羅。海座は黙った。
「・・・・・・・・おぅ」
「命を狙われても。しょうがねぇ立場なんだからな。」
「・・・・・・・・おぅ」
イッテンバリ。
「譲ちゃんだって何度も危ない目にあってんのも、忘れてねぇだろ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
応えない。
「・・・・・・・酷なこと言ったな・・・・・・・・。わりぃ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・いゃ・・・・・・・・・」
振り向かず、ザシザシ歩く。歩幅はそのまま。まっすぐ歩く。
歩き方はとても似ているんだけれど。
「あっ。軍師!」
珍しくサイファから声をかける。海座はその声にまたあの悪がきの顔で笑う。
「よぉ。サイファ」
「何しにいらしたんですか・・・・・?」
小さな殺気を飛ばしながらサイファが微笑む。
「桃饅頭でももらえないかと思いましてね」
にっと笑う。サイファが顔を引きつらせながら笑う。
「へぇぇぇ・・・・・。本日はまたツケのほうでのご購入ですかねぇ?」
放たれる険悪な空気。
「おう」
にっと笑う明るい笑顔。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
サイファは黙った。海座は構える。
「・・・・・・・いいわ」
ため息混じり。海座は驚いた。
「また前みたいに落ち込まれ続けでも困りますからっ」
ちょっと突き放すように言ってのける。顔は笑ってるけど。
「はぁっ?何の話でしょうかねぇ」
海座もちょっと切れながら言ってのける。顔は引きつってますが。
「ご自分の胸に手を当てて考えたらいかがかしら?っていうか!私あの後風邪ひいたんだからね!!!朝ま・・・――」
バッシィィィ!!!
口を掌でふさぐ。サイファの顔がいい音を出すくらい。ものすごい勢いで。
「何の話でしょうかねぇ?????」
にこやかな顔で、でも確実に何かを訴える笑顔で言った。声もドスがきいていた。
―――これ以上誤解を増やすようなこと言うんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・っ!!!
サイファは切れながらも、とりあえず黙っておいた。
後ろで高羅がふき出すのを堪えながら、帰ってからの報告(麗春達への)をまとめていたが。
ドドッ・・・・
そこに馬がものすごい勢いで通り過ぎて言った。
「うお・・・・・」
高羅が少しよろめいた。
「なんだ・・・・?使者・・・・?」
海座も、城の門を打つその馬に乗る男をのぞきこむ。
「・・・・・・・・・」
目を凝らす。
「・・・・海座っ・・・・・」
「あぁ・・・・。」
男の首に巻かれた布は、緑。
「なによ?」
サイファは桃饅頭を取り出して訊く。
「わりぃ!!」
バシッとその饅頭をつかみ、海座は走り出す。
「っえぇ!?」
サイファはわけも判らず走り出す銀髪の男を目で追った。
「ちょ・・・・・っ」
「わりぃな譲ちゃん・・・!また。金払いにくっから・・・!!!」
そういって高羅も走り出す。
「????」
まったく。わけが判らない。
走る男二人。
「・・・・・・やっぱそれっぽいな!!!」
高羅が追いつき言う。
「ああ。」
奔る奔る。
「岩太国だ!!!」


使者は、岩太国の者。
一応走りこんできたはいいが、実際そいつは単なる使者で、ただ書簡を門番に渡すと帰っていった。
だから二人はその馬と入れ替わりになったのだが。
「・・・・随分急いでたんだな・・・・・っ」
息を切らせながら軍師が言った。
そこに門番がやってくる。
「軍師閣下・・・・!どうして城外に?」
驚いたように言う。
あたりまえだ。海座はいつも小門を使うか、街の中に直接つながる地下の抜け道を使う。
「いや・・・・っ。それより今の・・・・!」
「あ。はい。岩太国からの使者でした。城内の休み所に案内しようとしたんですが、なんでも急ぐと言うので、すぐに帰ってしまわれました。」
説明。
「・・・・・・・・そか。分かった。ご苦労。」
海座は汗をぬぐって、書簡を受け取って城へ入った。
高羅もそれに続く。
まっすぐ歩く。
「・・・・・・海座。その手紙・・・。」
海座は手紙を黙り込んで見つめていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
なにも言わない。高羅が汗を流す。
「・・・・・・・・・間違いか・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・・・・。」
低く、小さい声。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺宛だ・・・・・・・・。」

手紙の文字。
冬に、鬼。―――――真文国 国王 冬鬼殿


「えぇ・・・っ?」
冬樹が椅子をガタンと鳴らせながら立ち上がった。
「ほ、本当に冬鬼と。書いてあるんですか・・・・・・!?」
「あぁ」
小さくうなずく。海座。
「・・・・・・・間違いではないでしょうか・・・・。だって一文字だけだし・・・・・っ」
「・・・・・・・・・・この手は・・・・・岩王・・・・じゃねぇな」
差し出す。
「・・・・・・・は、はい。そうですね。この前のも達筆でしたが、今度のは・・・・美しいと言うか・・・・」
文王が以前受け取った岩王からの手紙と見比べた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・九李だ・・・・・・」
「え?」
「おそらく。例の外交者だ。」
「・・・・・そ。それはまだ断定できませんよ・・・・・っ」
文王の反論。
「・・・・・あぁ。」
素直。
「・・・・でも、俺の勘が・・・・・・・・・・そう言うんだよ・・・・・・・・」
手紙を見つめる。
クシャッとする。


真文国 国王 冬鬼殿
此度。7度目の月が空に昇る日に、わが国の外交者・九李が主の国へ参上することを先に申し上げます。


「・・・・・どうしますか」
文王がじっと顔を見る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
考え込む。
「・・・・・・・・・・・・あいつは・・・・・俺に会ったことがあったか?」
「・・・ありませんね。少なくとも、名乗っては来ていません。」
「・・・・・・・・・・・・・そうか・・・・・」
腕を汲む。壁にもたれかかる。
「・・・・・いっちょ、ひっかけてみっか。」
呟く。
その。鋭い眼。



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