―――王様にならねぇか?

天武天文の国 真文国。
時は文暁7年。先の王様が正地の戦で亡くなられ今の冬樹(トウキ)様がこの国をお継ぎになられてから7年が経った。
この国は大陸の東のハテの小国。しかし、戦の世において、この大陸の四大国に指折られる強国である。


風が吹いた。埃が舞った。そこはもうなにもかも奪われた。
1つの馬の音がその埃の中止まった。
「・・・・・」
止まった馬の後ろについてきていた馬がその馬を追い抜きふりむいて止まった。
「どうされました?」
太い声。
「・・・・・ガキだ・・・」
少年の声。
うずくまる子どもがぼろぼろの布に包まって馬の足元にいた。子どもが力なく上を見る。
「・・・・・」
馬上の少年が考える。
「どうしたんですか?」
再度太い声がたずねる。すると少年のつぐまれた唇が開いた。
「おいガキ。」
風が吹いた。埃が舞った。
「王様にならねぇか?」


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